2018/4/16〜20にかけて、 『Holacracy』の著者でもあり、導入コンサルを手がけるHolacracyOne社の創設者でもあるブライアン・ロバートソンによるHolacracy Practitioner Trainingを、オグラボの仲間と一緒に受けてきた。
前回から少し(というか、ずいぶん、というか、えらく)時間が経ってしまったが(^_^;)、今回も“ Holacracy Practitioner Training”や自分自身のHolacracy運営経験から感じたことや解釈したことをレポートしていく。
まだ、自分の中に、整理しきれていない気づきや学びがもちょっとある感じなので、もう数回は続くかな、、、いつになるかわかりませんが(^^)
Holacracyのよく出来ているなぁと思う5点目
“存在目的のために、環境や状況に合わせて動的に組織が変化するところ”
人 < 組織(生命体)
Holacracyの哲学のひとつとして、“組織という生命体は、人を超えて大きな目的を達成しうる存在である”というのがある。
その“生命体の力”が“人の持つエゴ”に制限されることなく、存在目的の実現に向かい、かつ“人の持つクリエイティブな力”が存分に活かされるように、Holacracyでは色々な仕組みが考えられており、そのひとつに、“ロール(役割)とソウル(人)を分けて捉える”というのがある。
この捉え方から、Holacracyでの組織づくりは、所属している人を活かすために“人を組織化する”ことではなく、生命体の存在目的実現のために必要な力(権限)を持った“役割をデザインする”という考え方で進めていっている。
そのデザインがなされた後に、”人”が既に権限(思う存分自分のスキルや創造力を発揮できるためのもの)を持った“役割”に入り、その“人”が持つ力を存分に活かしていくという流れとなる。
動的に、柔軟に組織の形を変えていく
トレーニングのシミュレーションにおいて、私が担当する会計ロールのところに、サービスのディスカウントの可否を決める必要がある仕事が降ってきた。ホームページ掲載時期の関係から、ひとまず営業ロールと相談をして一旦のレートを決めた。
ただ、今後同様な事が発生した時に、“確かにお金に関わる事ではあるけど、ディスカウントの可否を決定するのは自分の担っている“役割(入金や借り入れ、経費や給与の支払いを管理する会計ロール)”が行うのがベストなのだろうか?”という違和感(テンション)が自分の中から湧いてきた。
これまでの私の考え方の癖からすると、“ただでさえ忙しいのにそんな仕事までは抱えられない”とか、“普通そっちの部署がやる仕事でしょ”なんてもやっとしたものを抱えつつ、時に仕方なく引き受けたり、時に駆け引きしながら他部署にやらせたり、、、ってなっていた。
しかし、Holacracyでは、そんな個人が感じたテンションを取り扱う仕組み(ガバナンスミーティング)があるので、そこでアイディアを出すこととした。
そのアイディアを考える際にも、“自分の負荷が増えないようにという思考”や“新しい仕事をどこかに押し付けるような感覚”が全くゼロという訳ではなかったが、それ以上に、“組織全体(生命体)を考えてどんな役割が必要なのか”という視点で考えるようになっていた。
結論としては、少し役割の目的や責務が漠然としていた会計ロールを、資産の流れをきちんと担当していく財務会計ロールとし、新たにお金の配分や使い方を戦略的に管理していく管理会計ロールを立ち上げ、管理会計ロールが営業ロールの協力を得ながらディスカウントについて決めていくことになった。
そして、以前管理会計的な仕事の経験があった別のロールを担っている人が、ひとまずディスカウントに関わる管理会計ロールを担うことになった。1人の人が直接的な関連のない複数のロールを持つことができるのもHolacracyの特徴。
この動きが、役職者の会議等で決まる年に1〜2回の組織改編や人事異動で起きたのではなく、現場のメンバーの発案で、通常月に1度ほど行われるガバナンスミーティングで決定され実行されるところが、Holacracyが良く出来ているなぁ〜と感じた点だった。
なぜこういう自主経営的な動きがとれるのか
ロール(役割)とソウル(人)を分けて考える事をしていくため、仕事や権限が“人”ではなく、“役割”に付いているという感じになっていた。
ゆえに、よくありがちな役割と自分が同一化し、自分の影響範囲を広げようとしたり、他からの影響を受けないように自分を守るといった、本来の組織の目的や役割の目的を忘れた、個人のエゴが発生しやすくなるという状況が起きづらくなっていた。
とはいえ、実際にシミュレーションしている時、まだまだHolacracy環境下における経験が積まれていないと言うこともあり、私自身はそう簡単にエゴが抑えきれた訳ではなかったが、この仕組みを続けることによって、エゴからではない発想をする習慣や文化が生まれていく可能性を感じた。
そんな風に、ロール(役割)とソウル(人)を分けて考えているので、ガバナンスミーティング等でも、よくある縄張りを守ろうとする政治的な駆け引き(人の視点)ではなく、ひとつの組織として何が必要なのかという発想(役割の視点)になりやすかったのだと思う。
シミュレーションでの体験を、少しかっちょいい捉え方をすると、あたかも、組織という生命体が、環境の変化に対して何かが必要だということを、その中にいる個人のテンションというセンサーで感知し、自らの生命体の形を進化させていっているようだった。
続く、、、